あなたが書くから、読みたい。~私にしか書けない文章って、本当にあるの?~

SNSで発信を続けるようになって、
私は、こんなふうに思うようになりました。

「本を読むのが好きで、本当によかったな」と。

語彙が増えるからとか、読めるから書けるとか、
そういう効果の話ではなくて。

「好きだから読む」
という感覚そのものが、腑に落ちていることに気がついたんです。

私は、読者としての時間を、長く過ごしてきました。
物語の展開や終わりに、キャラクターの台詞や行動に、
勝手に期待したり、がっかりしたりしながら、
作者の世界に関わる気持ちを、よく知っています。

一方で、読者の感想や評価が、作者の世界を侵すものではない。
ということも、知っています。

たとえ似たような物語が、ほかにあっても、
「この人が書くから、読みたい」と思う世界が、確かにあるのです。
この人の言葉で読みたい、という気持ち。

誰かの文章を「好き」だと思うのは、
あなたの中にも、同じような感性がある、ということです。
そして、その感性は、文章を書くときだけでなく、
あなたの日々の暮らしや生きかたに、必ず表れてきます。

あなたとまったく同じ人生を歩んでいる人なんて、いない。
だから、あなたが書いた文章には、
あなたにしか出せない響きがあるのです。

「あなたじゃなくても書けるもの」は、たくさんある。
だけど、あなたの言葉で書かれることを、喜んでくれる人がいる。

自分の言葉を、ていねいに綴っていくと、
あなたならではの愛される文章が、形になっていきます。

文章のテクニックではなくて、
まずは、自分の感性を信じることから。

自分にしか書けない文章に、出会うためのワーク

これから、あなたの「好きな文章」を、一緒にたどってみましょう。

あなたが惹かれる文章の中には、
あなたの書くものに、すでに流れている魅力が、必ずあります。

ワーク1:あなたの好きな文章を、思い出してみよう

あなたが「この人の言葉や文章が好きだな」と感じる作家さんや作品、SNSの投稿はありますか?
ひとりでも、複数でも構いません。心に残っているものを、書き出してみてください。

ワーク2:「好き」の共通点を、探してみよう

書き出した作家さんや作品を眺めて、
共通する「好き」の傾向を、探してみましょう。

たとえば、
やさしい言葉が多い。説明がていねい。ユーモアがある。
感情の描写が繊細。一言でズバッと刺さる。哲学的で深い。
静かによりそってくれる。幻想的な世界観。

…などなど。
「私って、こういうところに惹かれるんだなあ」と、
心地よさを感じる雰囲気を、言葉にしてみてください。

ワーク3:心に残る一文との、共鳴を感じてみよう

今度は、その作家さんや作品の中から、
特に心に残っている一文や表現を、ひとつ選んでください。
そして、じっくり読んでみましょう。

読んでみて、どんな感覚ですか?

読んだ瞬間、胸の奥がふわっとあたたかくなった。
言葉が、今の自分の気持ちとぴたりと重なった。
「自分もこんなふうに書きたい」と思った。
読んだあとも、ずっと心に残っていた。
思わず声に出したくなった。
細かく説明されているわけじゃないのに、すごくわかる気がした。

あなたがそう感じたということは、
あなたの中にも、その響きがあるということです。

自分にまったくないものを、人は感じることができません。

それが、あなたと「好き」の共鳴するポイントです。

ワーク4:「あなたにしか書けない」を、見つけよう

ここまでの気づきをふまえて、
自分が過去に書いた文章や投稿をひとつ読み返してみましょう。

「ちゃんとした文章」でなくても大丈夫です。
何気なく書いたもの、日記、メモ、短い感想文など、
あなたの言葉で書いたものなら、何でもOKです。

こんな視点で、読んでみてください。

すっと書けたフレーズや、言い回し。
自分で「この表現、好きだな」と思った場所。
少し照れくさかったけど、書きたかったこと。
わざとらしくなく、自然に書けたところ。
「やっぱりこれ、私っぽいな」と思えた部分。

そこに、ワーク2や3で出てきた「好き」と通じる感覚はありませんか?

似ているわけじゃないのに、
どことなく、同じ匂いがするような。

あなたの「好き」の根っこは、あなたの文章につながっています。
だけど、決して、同じ文章にはならない。

あなたが惹かれる言葉は、あなたの中にもある。
あなたが書くからこそ、伝わるものがある。

だから、今日もあなたの言葉で書いてみてください。
その文章を待っている誰かが、きっといます。

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