めずらしく、読みにくいな。
そう思いました。
登場人物の名前に、フリガナがなかったんですよ。
基本的に、初めて出てくる人名には、難読漢字じゃなくてもフリガナが振られるはずなのになあ。
人の名前を覚えるのに時間がかかる私には、不親切な設計。
…と、思いきや。
キョウコの正体は、こっち!
キョウコで、リンちゃんで、みっちゃん。
ああ、だから、フリガナがなかったんだ。
だから、章題には名前が入っているのに、目次は番号だけなんだ。
「もう、読みにくいな…」の正体も、すべて含めての伏線。
してやられた感が、めちゃくちゃ楽しかった!
物語自体は、いまの私には、ちょっぴり遠い場所でした。
なんとなく知っているような、いないような、息のしづらい世界。
辻村深月さんは、微妙で繊細な感情の居場所を、本当に上手に描く。
私がここにいる、と見紛うような感覚や心理から、
私はそこにはいなかったはずなのに、まるでいたかのように錯覚させる感情まで。
遠くなのか、近くなのかの違いだけで、
確実に世界の一部にあったものたちを、炙り出すような小説。
出席番号一番の話が、いちばん私好みの読後感でした。
好みは分かれそうだけれど、とてもリアルで、
リアルで息が詰まるのに、おもしろく読めた、不思議な一冊です。


