いい本、読んじゃった。

小手鞠るいさんの小説を読むのは、実ははじめてでした。
詩は、何度か目にした記憶があるのですが。
日記形式というのが、この物語には、ものすごくよくて。
書かれている文章の外で、何が起こっているのか、
わたしたちに想像させてくれる小説です。
「想像する」って、わたしの読書の原点でもあるので、
嬉しい物語のつくりです。
そして、言葉が、音を立てて流れ込んでくる物語でもありました。
最後のほうの、主人公が「ことばの洪水に包まれる」ところ。
この作家の「書いたことばを、あたしは信じることができる」って思うこと。
作中に登場する、おそらくは小手鞠るいさんご自身のものであろう、
書くことの美学。言葉の価値観。
ああ、これ、知ってる。
ああ、これ、好きだな。
そう思える気配が、そこかしこに潜んでいて。
わたしの中にあるものと、かちりと触れた瞬間に、
どう、と言葉が流れ込んでくる感覚が、好きでした。
触れてくるものたちに混じって、
わたしの文章の礎でもある、やなせたかしさんの匂いがしました。
なつかしくて、嬉しくて、心がきゅっとなりました。