わが子の「やる気スイッチ」はいつ入る?(菅野純)

いつ入るのかな(笑)。

夏休み前に、長男の担任の先生から、「ときどき宿題が出ていないので、家庭学習の習慣づけを」と言われて以来。

長男がいつ宿題を始めるのかと、ハラハラしたりイライラしたりの母です。

子どもの頃の私だって、

「先生に言われたから、出来はともかく期日までに出すのが当然」「やらなければ叱られる、それは嫌」

だからやっていただけで、決して、やる気に満ちた意義のあるものではなかったけれど…。

長男は、「別に叱られてもいい」と言います。

親として、宿題をする必要性を伝えようと思っても、私の学習観の中に、「叱られるから」以外の理由が欠けていて、伝えられるものがないのです。

反復の必要な勉強や、授業で理解できなかった部分を補うための、子どもひとりひとりに合った宿題なら意味があると思うのですが、一律の内容や量で宿題をする意義は、私が未だ腑に落ちていないんです。

〆切は守るべきものだとは思いますが、自分で取り組もうと決めたり、先生と一対一で決めてきた内容ではなく、一方的に与えられるものなので、約束事としての効力も、少し弱いような気がして。

習慣づけも大切だけれど、それは必ずしも宿題で身につけなければならないものだという確信もなく。

「それでもやるものなんだ」と強く言えればいいのかもしれませんが、自分が納得していない理屈を並べても、子どもに伝わらないんですよね。

さらに強く叱れば、家の雰囲気も悪くなるし、私も子どもも嫌な気分で取り組むことになります。

結果、私は怒ってばかりの自分が嫌いに、子どもは叱られてばかりの自分と、勉強が嫌いになるという、悪循環。

私が親から言われてつらかったことの記憶や、プレッシャーに苦しんだ長女のこともありますし。

それは嫌だなあと思うのです。

だから、方法を知りたくて、読んでみました。

引用しながら、自分の覚書にしたいと思います。

親ができること

やる気=動機には、2種類ある、と書かれています。

ひとつは、心の外側から与えられる動機(外的な動機)。

生理的な動機(空腹など)、社会的な動機(ごほうび、ライバル心など)が、これに当たります。


もうひとつは、 心の内側からわき出る動機(内的な動機)。

好奇心、自尊感情(自分で自分をほめたい、「できる」と実感したい)、達成動機(最後までやり遂げたい)などです。

この本で触れているのは、「心の内側からわき出るやる気」の方です。

子どもが、本当の勝負どころで、自らやる気スイッチを押せる人になるために、親ができることは、2つだけ。

①やる気の「土台」をつくる
②やる気をつぶさない

これだけ、なんだそうです。

また、例えとして、こんなふうに書かれていたのですが、

「この子がやる気を出してくれさえすれば」

と思うのは、逆の立場になると、

「お母さんのごはんはあまりおいしくないから、もっとやる気を出しておいしいごはんを毎日作れ」

と言われるようなもの。

…これは、確かにしんどいですね。

やる気を出しさえすれば、解決する問題じゃない。

色々な工程があり、自分の得手不得手があり、それぞれの好みがあり、家族との関係がある。

おいしくない原因は「お母さんのやる気がないから」だけではないし、そんなふうに言われたら、すごくつらいです。

子どもにとっての勉強も同じで、能力や気質、性格や環境、いろいろな要因があります。

「やる気とは、繊細で、流動的で、危ういもの。人間関係に左右されるもの」

との言葉通り、「さまざまな視点を持ってていねいに1つひとつ、子どもの心を考えてあげること」が必要なんですね。

「やる気がない」の正体

子どもにやる気がないように見える原因は、大きく分けて、以下の4つだと、著者は言います。

①やる気の方向が親とずれている
②子どものエネルギー量が少ない
③やる気が出る状況ではない
④ やる気の「土台」が育っていない

「やる気のずれ」については、まず「やる気=勉強のやる気」に限定しないことと。

もうひとつ、実例を挙げて、こう語られていました。

もしも、親と子で「方向」がずれてしまった場合には、絶対に親の方が歩み寄らなくてはいけません。

そうでないと、子どもが道に迷ったときに戻ってくる方角の明かりさえ、消されてしまうからです。

これには、胸が痛みました。

私は長らく、夢を叶えられなかった自分を認めることができなかった経験があります。

その程度の能力しかなかった、と言ってしまえば、確かにその通りなのですが。

親がもし、「そんなものは無理だ」「諦めろ」「現実を見ろ」という言葉ではなく、この本に書かれているように、「やりたいように頑張ってみな」と言ってくれたら…。

自分なりに努力して夢を叶えるか、叶えられなくてもその経験を糧にして、次に踏み出したり方向転換したりが、スムーズにできたかもしれないな、と思うのです。

進路を反対された親への反発心があるばかりに、生き方の柔軟性を失っていたところも大きかったから。

そして、やる気の土台については、その作り方をひとつひとつ解説してくれていて、参考になりました。

心の土台を作る

「やる気スイッチを押せる」=「自信や自尊感情をしっかり持って前向きに生きている」ためには、3層の心の土台を育てることが必要なのだそう。

それが、以下になります。

①〈人間のよさ〉体験

「人っていいな」の日常の積み重ね


②心のエネルギー

1.安心感…家庭の温かさ

2.楽しい体験…プラスの変身→できなかったことができるようになった、感動体験

3.認められる体験…子どもの存在そのもの、心に○をつける


③社会生活の技術
1.自分の気持ちを伝える技術…自己表現力を育てる
2.自分をコントロールする技術…ほめる言葉が力になる
3.状況を正しく判断する技術…さまざまな経験が物を言う
4.問題を解決する技術(親が待つこと)
5.人とうまくやっていく技術(親がモデルになる)
6.人を思いやる技術(子ども本人をたっぷり思いやる)

――読みながら、何だか見たことがあるような土台だな…? と思ったら、これか~!

「自己肯定感」を土台にして「しつけ」が可能になり、さらにそれらを土台にして「勉強」が身につく、という。

意図せず似たような情報が集まってくるということは、この土台の考え方が、きっと今の私に必要だということですね。

親の「未整理」なもの

最後に、もう一度、私が考えるべきことです。

「わが子の幸せ」という美しい言葉の陰に、親自身の未整理な感情が紛れ込んでいないか。

菅野さんは、そう問いかけます。

未整理な状態で子どもにぶつける言葉、正論は、子どもには届かないからです。

その言葉に含まれるウソやごまかしに、子どもは気づいてしまうからです。

「これはぼくのために言ってくれている言葉ではない」と。

読み終えて、やってみたい内容や、子どもにかけてみたい言葉、心がけたいことがたくさんありました。

まず、読後感から整理しなくちゃならないほどですが(笑)。

最初に考えていた、宿題をする必要性。

自身の気持ちをきちんと理解し、学習観を確立して、本当に子どもに届く言葉で、話していきたいと思います。

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