買わない習慣(金子由紀子)

そもそも、買わなければ、お金はなくなりません。

あたり前のことなんですが、私たちは「買わないことなんてできない」前提の世界で、生きているのだと気づかされます。

「節約」も「バリバリ稼ぐ」も合わずに挫折した著者が、「買わない」ことを心がけるようになったら、お金は思ったよりかからないとわかった。

お金のことを考えずにすむと、気持ちもゆったりしてくる。

そんな経験から、

「買わない習慣」といっても、買うことすべてを否定するのではありません。

ただ、せっかく自分の大切な人生の時間と引き換えに手に入れたお金を、

「皆が持っているから」「何となく欲しいから」

といった理由でつまらないモノと取り替える(買う)のを少し休んで、ほんとうに欲しいもの、自分の暮らしを豊かにしてくれるものは何か、もう一度考えてみませんか?

という提案をしてくれる1冊です。

「買わない暮らし」とは

「買わないでガマンする暮らし」ではなく、「買わなくても楽しめる質の高い暮らし」だと、金子さんは言います。

それに必要なことは、

  • ほんとうに必要なモノはきちんと手に入り、暮らしに要らないモノがない
  • 心と体が健康である
  • ヒマをもてあますことも、時間に追われることもない

以上の3つで、これを満たしていれば、満ち足りた質の高い暮らしである、と。

買わないことや、買い方に関しては、すでにやってみたものも、いくつかありましたが。

私が改めて、暮らすことの基本を考えさせられたのは、「暮らす技術が低いのを補ったり、時間を節約したりするために、いろいろなモノを抱え込んでいる」という部分でした。

暮らす技術=買わない技術が高く、たくさん身についている人ほど、買わずにすむ。

究極は「作る」ことですね。

衣食住にとどまらず、遊びや趣味の部分でも実践できる実例も載っていました。

中でも食についての項目は、日々の料理が好きではなく、外注の多い私には、耳が痛い(笑)。

いわゆる「ていねいな暮らし」のような内容なので、想像しただけで挫折しそうなのですが、目的は「暮らす技術を高める」こと。

つまり、暮らす技術の高い人ほど、自分で作り出せるものが多いから、結果として「ていねいな暮らし」になるんだな、とわかりました。

最初からそんなふうにはなれなくても、自分の技術を少しずつ高めていくのだと、視点を変えてみると、私にもできることがありそうです。

買わない習慣の先にあるもの

自分の持ち物の棚卸しをすると同時に、買わない場所・もの・時間を考えること。

買わない技術のあれこれや、実際に「買わない」1週間の体験記など…。

読み進めると、こんなに「買う」ということをデトックスできるんだな、と感心します。

その上で、心地よい毎日を作るために買ってよいものや、買い物のコツまで書かれていて、1冊が終わる頃には、まるで生まれ変わったような気分になります。

買わずに見て回る買い物を楽しむための台詞などは、店員さんとの会話に使えそうです。

そうして、買わない習慣を身につけると、

今までお金を払って外に投げ出していた「暮らす技術」「生きる技術」を、「買わない」ことによって、自分の中に取り戻す

ことができる。

そんな自分になれたなら、もう、買っても買わなくても大丈夫。

お金があってもなくても大丈夫。

「お金がないと困るから」「買わなくちゃなくなるから」と暮らしていた頃より、人生の選択肢が増えて、すごく自由になれるんですね。

これは、身軽だ。

どちらでもいい自由」は、心の中だけでなく、暮らす技術を高めることによってもまた、手に入れられるものなんですね。

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