寂寥を見つめる

今年度から、わが子たちの通った保育園が新築移転しました。

次男は旧舎最後の卒園生となり、我が家も保育園との長いおつきあいが終わり、もう立ち入ることもないのですが。

新しい園舎の近くは、よく車で通ります。

とても広くて綺麗で、子どもたちの楽しげな雰囲気が漂っていて、心が温まる空間です。

夕暮れどき、久しぶりに、古い園舎の前を歩いてみました。

どこまでも、しんとしています。

光が差さない建物の奥には、暗がりが息づいていて、人の気配が微塵もありません。

窓に貼り残された飾りテープや、ちらりと見える空っぽの古びた棚など、昔は人がいた痕跡だけがわずかに滲むようでした。

送迎のたびに見上げた玄関の時計だけは、いまだ動き続けており、変わらずに時を刻んでいます。

寂寥とはこういうことか…と思いました。

昔の私なら、詩にしただろう光景です。

今はただ、言葉にならず、しんみりと見つめるだけ。

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