その日は、朝から雨が降っていた。
いつものように、きみの帰りを待つために、傘をさして外に出たんだ。
空気がしっとりと重い。
なんだか傘まで重たい気がする。
今日もさ、いろいろあったよ。
空気に負けないぐらい、それなりに疲れてる。
でもさ。
花のつぼみに、雨の雫がころころと、たくさんくっついていて。
とっても可愛いな、って思ったんだ。
つい顔がほころんだ。
雨の日に、雨を見て、微笑むことができる。
だから、私は大丈夫なんだ。
体は疲れていても、心は健やかだって、わかったから。
遠くに、傘からはみ出したランドセルと、傘に隠れた小さなきみの姿が見えた。
私は、とびきりの笑顔を準備する。
おかえり。
今日も一日、お疲れさまでした。