かたおか のぶえ さんに、おすすめいただいた本。
#今月はのぶえさん読書月間
#世界でいちばん透きとおった物語
#妻に捧げた1778話
#残像に口紅を
【妻に捧げた1778話(眉村卓)】
すごいな。としか、言いようがなかった。
闘病中の妻に、毎日1話書き続けた、全1778話の掌編の一部と、
結婚生活をふり返るエッセイとが合わさった本なのですが。
まず、1778日間書き続けたことも。
家族の闘病と並行して、書いていたことも。
書く物語に、自身でかなりの制約を設けたことも。
その上で、書き続けたことも。
さらに、後々それらを俯瞰している視点も。
一度でも、何か物語を書こうとしたことがある人なら、
その凄みは、真に迫ってくるのではないかと。
物語ひとつひとつが、まるで日記のような揺らぎを抱えて続いていく。
作者の人生とともに、絶対的な完成図がなく進んでいく。
作品だけで圧倒的に魅せてくる物語も、好きなのだけれど。
現実そのものも込みで、ストーリーになる物語は、じわりと細胞を浸してくる感覚が、よいです。
「掌編+エッセイ」で1冊の物語、というスタイルは、
作者を内側から抉ってくるようで、おもしろいな! と思いました。