「そのまんま書く」は、簡単なのか? 難しいのか?

「感じたこと、思ったことを、そのまんま書いてください」
って言われたら、あなたはどう思いますか?

私は、小躍りして喜びます。
「えっ、そのまんま書くだけでいいの? めっちゃ楽ちん! しかも自由!」
で、いきいきと書き始めます。

だから、
「そのまんま書くって、どういうこと? めっちゃ難しいんだけど!」
と、真逆に感じる人がいるのを知って、びっくりしたんです。

この違いは、どこからくるんだろう? って考えたとき、
文章力とか語彙力とかは関係なくて。
書くときの順序と、書くことの定義が、そもそも違うんじゃないだろうか。

感覚を思考にする人

私にとっての書くことは、
「感覚を言葉にする遊び」です。

まず、空気の匂いや光の温度、胸のざわめきなどを”感じる”。
次に、それをとらえるために、言葉を探しにいきます。
それから、文章の長さ・比喩・切りとる情景などを選んで、感覚を表現しようとすることが「書く」です。

感覚とは、もともと最初から存在しているものなので、
そのまんま書くって、まず感じているものを出すだけ、なんです。

思考から感覚を探す人

だけど、そのまんま書くのが難しい…という人にとっての書くことは、
「思考や感情の整理」なのではないか、と思います。

まず出来事があって、次に、それについて”考える”。
そのあと、考えたことや感情を、整理しようとするのが「書く」になる。

この順番だと、感覚は、考えたあとで発見されるものなんですよね。
だから、思ったまま、感じたまま、そのまんま。って言われても、
「どれが正しい感情なんだろう?」と、迷ってしまって、
書くのが難しくなるんじゃないかと。

◇ ◇ ◇

私は前者の、感覚を思考するタイプなので、
思考から感覚を探す、というのは仮説なんですけれども。

子どもの読書感想文や日記に対して、
「思ったこと、そのまんま書くだけでいいんだよ」
と、簡単にする方法を伝えているつもりで、
実は、よけいに混乱させていたのかもしれない。

「えー、だってつまらないって書いちゃダメでしょ」
って、外側の正解を求めるような返事や、
「どこもお出かけしてないし、書くことないよ」
と、先に出来事を探しているそぶりが、よくあったので。

確かに、考えたことを整理して書こうと思ったら、
”そのまんま感想を書く”は、めちゃくちゃ難しいし。
何かしらの出来事があって、考えてからじゃないと感じることができない。
という前提ならば、日常を日記として文章に起こすのは、至難の業ですよね…。

感覚から思考、思考から感覚、
どちらがいいかという話ではなく、純粋に、違いがおもしろい。

で、「そのまんま書くのが、難しい」という人は、
感じていないから書けないのではなくて、
感じていることに、まだ言葉を与えられていない状態で。

感じたことと、自分が知っている言葉との回路がつながったら、
そのまんま書く感覚を、体験できるのかな。と思いました。

そう考えると、そのまんま書く。って、
点と点のつながりに気づく、神経伝達みたいな力なんですね。
文字どおり、感覚的。

感覚を思考にする人。思考から感覚を探す人。
あなたは、どうですか?
ぜひコメントで聞かせてほしいです。

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