【エッセイ】私は、抒情を描きたい。

なんて、きれいなの。

そんな瞬間が、世界にはあふれてる。

穏やかな日差しの下、すっかり白くなったすすきたちが、
不意の風に、こうべを揺らすとき。

晴れているのに、雲の周りが薄く煙っている、冬の入り口の空。
鈍く光る太陽を見上げて、上空の冷たさを思うとき。

いつもはオレンジ色の朝焼けが、今日は真っ赤だった朝。
遠くに燃える火をみたような。

冬の晴れ間は、コントラスト。
しんとした寒さに、青空と積もった雪。そうっと顔をのぞかせる草。
色の輪郭が、くっきりと浮かび上がる。

雨の波紋は、永遠に見つめていられるほど、美しい。
規則的に広がり消えるのに、不規則に落ちてくるアンバランスさ。

私は、感動を描きたい。
「うわあ…!」の先にあるものを、表現したい。

情報ではなく。情緒でもなく。
私は、抒情を描きたい。

私の「好き」を、感情が動くものを、
美しく、表現したい。

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