野菜畑で見る夢は(小手鞠るい)

これこれ、この感じ。わたしが読みたかったやつ!
そんな手ごたえの一冊です。

詩のように短くて、余白の多い物語。
どこからでも読めるけれど、最初から順に読むと、すべてがつながっている世界のこと。

3人の主人公が、季節と物語とを、かわるがわるつなげてゆきます。
野菜畑、というだけあって、お野菜の描写がたくさんある。

いちばん「やられた!」と思ったのは、茄子の「ずわずわ感」という言葉。
まさに、な食感かつ音感でありながら、わたしからは出てこない表現です。
この一言に出会えただけで、読んでよかったな、なんて思っちゃいます。

そんなふうに野菜そのものを描きながら、なぞらえた気持ちや情景が、みずみずしく脳裏に浮かびます。
とれたてほやほやの思いを、新鮮なうちに、ぎゅっと文章にしたみたいな。

お野菜と同じで、短い物語の中に、いろんな味わいがあります。
甘かったり、ほろ苦かったり、刺激的だったり、じんわりと染みたり。
ひとつひとつの気持ちが、宝物。
これはたぶん、メルヘンと呼ばれるものに近い感触だと思う。
わたしがとっても好きな手ざわり。

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