新世界(西野亮廣)

図書館で、「新成人に読んでほしい本」の特集コーナーに置かれていました。

「お笑いの、プペルの、クラウドファウンディングの人だ」と思って、手に取りました。

あまり詳しくは知らない方だったのですが、以前に、私が好きな緒方恵美さんと対談されているのを見たことがあって。

その中で聞いた、クラウドファウンディングの話が印象に残っていたので、読んでみることにしたのですが…

おもしろかったです!

貯金から貯信の時代へと変わってきている話。

「信用を換金する装置」である、クラウドファウンディングと、オンラインサロンの話。

「しるし書店」から生まれた、「読書屋」という職業の話。

今は、私たちが親世代から教えられた「労働の対価としてお金を貰う」以外に、お金を生み出す選択肢が追加されていること。

ぼんやりとしかわからなかった未知の世界が、霧が晴れたように開けて見えてきます。

圧倒的な力と優しさ

対談で見たときの、行動的でスピード感あふれる印象そのままの本でした。

いいかい?

理解できないものを批判することは簡単だ。

でもね、

キミに守りたいモノがあるのなら、

今のキミが理解できないものを批判しちゃダメだ。

理解できないものがキミの目の前にきたら、その時は、

理解する努力を選択するんだよ。

自分の体験のみを語る、と言うだけあって、ひとつひとつに説得力があります。

嘘はつかないほうがいい。

その為に、「嘘をつかなくてもいい環境」を手に入れるんだ。

何をすれば「信用」が減って、何をすれば「信用」が増えるのかを見極めるんだ。

言葉も簡潔で、伝わりやすい。

今、キミの目に映っているもの全てがこれまでの結果だ。

今この瞬間に「言い訳」と縁を切るんだ。

(中略)

「現実」というものは、

行動を起こしていない人間の想定を軽く超えてくる。

足を動かしていない人間が出す答えには何の価値もない。

考えるだけ身体が固くなる。無駄だ。

武器の使い方は、戦いながら覚えるんだ。

覚悟を決めるんだ。

私が圧倒されてしまうパワーの持ち主らしく、いつもなら、遠目にすごいなあと眺めるだけになるタイプの方だと思うのですが…

不思議と、惹きつけられるんです。

最後まで読んで、「ああ、この人、優しいんだ」とわかりました。

でもね、

キミが頑張れるサイズは決して見誤っちゃダメだ。

少しぐらいの無理は必要だけど、続かない無理はやめた方がいい。

身体が保っても、気持ちが保たない場合がある。

挑戦して、

毎日めいっぱい殴られて、

悲鳴をあげることもままならなくなって、

キミの気持ちが壊れそうになったら、

その時は、逃げるんだよ。

なりふりかまわず逃げるんだよ。

逃げた先で、次の一手を考えればいい。

生きてさえいれば、必ずまたチャンスは巡ってくる。

まずは自分を懸命に守れ。

話はそれからだ。

この前提ありきで語ってくれているから、圧倒的だけれど、優しいんですね。

「新世界を迎えに行く」

贈り物の話も、おもしろかったです。

『モノが不足していた時代』の正義と

『モノが溢れている時代』の正義

西野さんは、そう分析していました。

そこから、言葉と文字の話へ。

レターポットのことも、私は初めて知りました。

西野さんは、「声の小さい人を徹底的に守る」ことに一貫しているのだそうです。

たとえ弱くても、たとえ無名でも、誠実に生きている人が報われる世界だ。

ボクは、そんな世界を迎えに行く。

この台詞、素直に、素敵だなと感動しました。

世界を、自分から迎えに行くという生き方が、かっこいい。

そして、彼がレターポットをリリースし、「言葉」と向き合う時間の中で知ったこと。

ボクらは、使える文字数に制限があると、わざわざ誰かを傷つけるようなことに文字を割かない。

たとえばキミの手元に、あと20文字しか残っていなければ、キミはその文字を大切な人に贈るだろう。

元来、言葉は美しい。

言葉を汚している原因は、「文字」が無尽蔵に発行できてしまうことと、そこからくるボクらの甘えだと知った。

(中略)

そして、何より嬉しかったのは、「人間は、汚い言葉よりも美しい言葉を優先的に選ぶ生き物である」ということが分かったことだ。

この一節を心に刻んで、私も言葉を綴りたいと思いました。

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