空白を消去する

椅子に座って、パソコンを開いた瞬間に、寝落ちしたらしい。

らしい、というのは、記憶がまったくないからなのだけど。
確かに何かを書きとめようとして、開いたはずなのだけど。

気がついたら、画面には延々と空白が広がっていた。
どうやらエンターキーに指を置いたまま、かくん、と眠りに入ったようである。
消すのが大変じゃないか。まったく、もう。

空白を消去するって、不思議な感覚だ。
これがペンを持って書いていたのなら、無意味な線が勢いよく走っているだろうに。
キーボードだったとしても、別のキーなら、謎の古文書のような文字列ができただろうに。

エンターキーだったばっかりに、広大な空白が生まれてしまった。
その真っ白な画面に、私は何を書こうとしていたのだろう。

それすら思い出せないままに、ただ黙々と、カーソルが戻っていくのを見つめている。
頭の中身も、一緒に消えていくような気がする。
今夜はもう、眠ることにしよう。

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