失はれる物語(乙一)

再読本です。

娘が、乙一さんの「アークノア」シリーズを読んで、おもしろいと言っていたので、別の乙一本を選びに図書館へ行き。

見つけたら、懐かしくなって、久しぶりに読むことにしました。

ライトノベル時代から、「Calling You」が、好きだったんですよね。

乙一さんの本は、貸してもらって読むことが多くて。

安定したおもしろさなのですが、ホラー系の描写が苦手な私は、手元に本を置くことはできませんでした。

行きつけの小料理屋のように、定期的に出かけて、香味高い小鉢を、一口ずつ楽しむ感じです。

短編集で再読ということもあり、空き時間で、しっとりと読みふけることができました。

「失はれる物語」のタイトル通り、読後には、かすかな喪失感があります。

でも、どこまでも悲しみに沈むようなものではなくて。

読む前と、読んだあとでは、自分の中の何かが決定的に変わってしまったような。

自然な成長とともに失った、過去の自分に気づいたときに、戻れない昔に、胸が小さく痛むような。

大人になってから読むと、より味わい深いなあと思いました。

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