近所の本屋さんで、一般書に交じって置かれていたのを、何気なく買ったのですが。
これ、子ども向けの本なんですね!
投資家である著者が、いくつかの学校で行った「お金の授業」の中から、本当に伝えたい話をまとめた1冊だそうです。
帯に書かれた「ノウハウではなく、考え方」という言葉にも惹かれ、読んでみました。
「お金の勉強で大切なのは、正しい答えを知ることより、いつも考える習慣をつけること。」
心屋さんの本でも学んだことですが、そもそも、お金にはいいも悪いもありません。
村上さんも、このように言っています。
お金は、生きていくうえで欠かすことのできない「道具」です。
道具は上手に使うことができれば、自分も含め、人を楽しませたり喜ばせたり幸せにしたりすることができる。
(中略)
「道具」だからこそ、使い方を間違えると自分や周りの人を傷つける凶器にもなってしまうのです。
だから、ハサミの使い方を覚えていくように、子どものうちから、きちんとお金について学んだ方がよい、ということですね。
小学校高学年ぐらいなら理解できるように書かれているので、お金や経済を苦手だと敬遠してきた私にも、とてもわかりやすい。
そもそもお金とは何なのか、お金とのつきあい方や、お金の持つ力についてなど、さまざまな知識を得ることができます。
それだけでなく、「大切なのは、とにかくまず考えること。」と言うとおり、自分の頭で考える力をつけるためのヒントがちりばめられています。
また、お金のことを理解した上で、お金に支配されずに生きるためには、お金以外の「ものさし」=自分なりの「幸せの基準」が大切だということも。
いろんな形のミニマムな暮らしや、シンプルな生き方に触れたときにたびたび目にした、「お金以外の幸せの基準」が、お金のプロからも出てくるとは、予想外でした。
お金のことだけでなく、お金以外の価値観を知るためにも、自分で考えられる力というのは大切ですね。
「稼いで貯めて、回して増やす。増えたらまた回す。」
お金との向き合い方を、簡潔に示す一文です。
村上さんいわく、
「社会にとってのお金は、血液のようなもの」
であり、流れを滞らせてめぐりを悪くしてしまうと、社会は不健康になる。
「君にとってのお金は、離れられないパートナー」
であり、
- 自立して生きていくためには、お金は絶対に必要である
- やりたいことをやるには、余分なお金があったほうがいい
- 困ったときに、お金は君を助けてくれる
- 君がお金を持っていれば、人を助けることができる
という、たどるべき4つのステップがある。
さらに踏み込んで、「稼ぐ」以外の入り口である「借りる」という、お金が凶器になり得る可能性についても、言及しています。
さまざまな面を持つお金の本当の姿を知り、愛をもって向き合う覚悟を持つことが、お金と仲良くしていく方法でもあるのだな、と感じました。
人を相手にするのと同じですね!
最適なお金との関係を、築き上げていきたいものです。
いちばん大切なこと
「お金の話」の本文は、このように締めくくられます。
一番大切なのは、自分の心が豊かになるお金の使い方をすること。それが何より重要なことなのに、実は一番難しいのです。
だから、大人になって社会へ出る前に、一生懸命考え、挑戦し、いろいろな経験を積んでください。
自分を本当に幸せにしてくれるお金の使い方は何なのか、そのためにはどんな仕事をしてどんな生活をすればいいのか、答えを探し続けてください。
正解はないし、さまざまなカタチがあって良い。さらに変わり続けるかもしれない。
それでも、「何が自分にとって幸せなのか」を常に考え、お金ではない基準をしっかりと自分のなかで持ち続けることが、お金に振り回されず、上手に付き合っていく一番の秘訣です。
「自分にとっての幸せ」という価値観をしっかりと持って生きること。
それは仕事や家庭生活、恋愛や社会活動などはもちろん、お金についても――何事においても必要な力なのだと、再確認させられます。
人生をより豊かにできる、知識の詰まった1冊でした。