「あ、ドラえもんの人だ」と、今度は私が手に取りました。
娘と一緒ですね(笑)。
完全に「ドラえもん」のイメージだけで開いたので、意外性の連続でした。
ぼやけるほど遠くの場所にいるキャラクターが、生身の人間になって目の前に現れたような。
等身大の、いい意味での「馬鹿馬鹿しくてくだらない」日常が綴られていました。
それも同然で、このエッセイのテーマは、「つまらない毎日の生活をおもしろがること」なのだそうです。
著者が過労で倒れたとき、看病に来た母が、こう言います。
「……ああ。あんた、生活嫌いだからね」
「掃除とか洗濯とかそういう毎日の地味な生活を大事にしないでしょあんた。だからそういうことになるの」
同じ母親としては、実によくわかります。
自分が家族の生活をも請け負うようになって、初めて「日々の暮らしを大事に楽しむ」大切さを思い知ったけれど。
子どもがいなかったら、私も星野さんと同じように、もうひとりの自分を置き去りにしていたかもしれません。
また、暮らしの楽しみ方も、今と同じ形にはならなかったでしょう。
そうして改めて読むと、主婦目線・親目線ではない、生活をおもしろがるアプローチが新鮮な1冊です。