台風前に、引きこもりのおともに買った1冊です。
青山美智子さんなら、短編だから家族がいても合間に読みやすいし、ほっこりした気持ちになれるに違いない!
はたして予想に外れはなく、じっくりと堪能しました。
いつものように、OLや高校生女子に「うんうん、わかる! そうだよね!」と共感しながら読んでいましたが。
実年齢的には、後半の40歳目前のリチャードさんや、50代の福永さんのほうが近いのだと気づいて、ちょっと衝撃。
でも確かに、この後半2話は、より深く沁みいるものがありました。
「この神様、素直で図々しくてやっかいで、子どもみたいで可愛いな」と思っていたら、最終話の、
「あんたが……左手が、勝手にしてきたことって、俺が本当の本当はやりたかったことだよな」
この言葉が、すべてを語っていました。
神様は微笑ましく、引っ張られて変わってゆく主人公たちの人生は温かく。
子どもを通して自分を見つめ直せた、私の記憶と交じりあいながら、じんわりと心を震わせてくれます。
巻末の対談にも、
登場人物たちは、例えばお金がめちゃくちゃ手に入ったとか具体的に何かが起こったから状況が上向きになるわけではなくて、その人の心のありようが変わることで人生を前向きに変えていくじゃないですか。
もの自体の価値は変わらないんだけれども、ものに対する価値観が変わる
というくだりがあって、私が子どもたちに経験させてもらったことが、まさにこれだ、と。
そうして変わる人生の素晴らしさを知ったからこそ、いっそう青山さんの物語が響くのかもしれません。