夕方、車を走らせていたときのこと。
信号のない交差点を、小学生の列が渡ろうとしていた。
ちょうど下校時刻にさしかかる頃である。
小さな体に、大きなランドセルが重そうに揺れているところを見ると、低学年の子どもたちだろう。
当然ながら、私は停まった。
お先にどうぞ、と軽く手を振る。
すると、道を渡り終えた小学生が、ひとりずつ律儀に、ぺこりと頭を下げていくのだ。
可愛らしく丁寧な姿に、ほっこりした気持ちになる。
ほんの少し、道を譲っただけ。
それだけで、こんなにたくさんの「ありがとう」を、浴びるほどいただける幸せが、ほかにあるのだろうか。
優しい運転をしよう、と改めて心に誓った。
また逆に、自分が歩いていて道を譲ってもらったときは、私も丁寧に頭を下げよう、と。
運転する人、歩く人。
どちらも心があたたかくなる世界がいい。