私の朝は、Eテレで始まる。
家事をしながら、聞こえてくる番組音で時間を把握している毎日である。
平日の朝は、テレビ体操の音楽が聴こえると、
「あっ、そろそろ子どもたちを起こさなきゃ」
の時間だと気づく。
普段は聞き流していて、意識していなかったのだけれど、ふと思った。
――そういえば、この番組って、いつもピアノの生演奏なんだな。
録音音源でもよさそうなのに、生演奏にしている理由はなんだろう?
いい意味での贅沢感で、心がほぐれるからだろうか。
ライブ感のある方が、一緒に体を動かしたくなるからだろうか。
CMスポンサーではなく、受信料を集めて作っている番組なのだから、何かしらの信念があるのだろう。
興味が湧いて調べていたら、数年前の記事を見つけた。
これはすごい。
生演奏は、収録ごとに即興で、体操もいっさい編集なしで収録するという。
こだわりと情熱が詰まった、まさに「ライブ」そのものだった。
何気なく見ているものに、それだけの思いが込められていると知って、感動し。
聞き流しているだけだったことを、反省した。
ちなみに、このテレビ体操、立ったバージョンで真剣に取り組むと、かなり体力を使う。
それでいて、体が衰えてきた世代や、車椅子の方々でも、それぞれのベストな形で体操できる。
老若男女に対応していて、一緒に参加できる「ライブ」って、実はとてもすごいものなのではないだろうか。
これからは、ただの目覚まし時間を知らせる音などとは、決して思わないでおこうと、心に誓ったのである。