日差しがすっかり夏になり、暑さも本番、快晴の昼。
町内の当番で、ゴミ集積場の掃除をしていた。
ゴミ収集車が来てくれたので、
「ありがとうございます。暑くなりましたねえ」
と声をかけた。
「ありがとうございます、毎日暑いですねえ。当番も大変ですね、ご苦労さまです」
収集員のおじさまは、にこにこと答えてくださった。
いやいや、私の当番など月に一度ぐらいで、自分たちの集積場を掃除するだけである。
おじさまたちはお仕事とはいえ、毎日あちこちの集積場を回っては、ゴミを集めてくれているのだ。
中には、ちょっと触るのが憚られるようなゴミ袋もあるし、暑さ寒さは厳しいし、集積場にいる虫も大変に苦手だし。
ゴミ回収をして、さらに笑顔で住民に話しかけ、労うなんて、私にはとてもできない。
このおじさまは、神様だろうか。
「毎日ありがとうございます」
自然に、感謝が口をついた。
おじさまは、笑顔を絶やさないまま、収集車に乗り込んだ。
自分にはできない、いろんな仕事をしてくださる人がいて、私は生活できている。
それがあたり前になると、目に映らない物事を忘れそうになってしまう。
せめて、見えない部分に想いを馳せて、感謝できる人間でありたいと、心から思った。