【noteエッセイ】知ろうとする

暑い暑い、夏の盛り。

保護者会に出席するため、小学校に向かった。

普段は玄関までしか行くことがないので、中に入るのは久しぶりである。

じりじりと照りつける太陽から逃れるように、玄関をくぐる。

自分の学生時代のような、むわりとした夏の暑さを想像していたけれど、

首筋をなでる空気は、意外にからりとしていた。

すべての窓が開け放たれている。

三階まで上がると、周りにさえぎる建物がないので、廊下を風が吹き抜けていく。

暑いことに変わりはないが、爽やかな夏だと思った。

昨今のコロナ禍や不審者対策で、学校の門扉は基本的に閉められているし、

地域と学校の連携とはいうものの、すべての住民や保護者が関わるわけではない。

わが子が通わなくなると、学校の内側のことはとんとわからず、外から見ると、巨大な閉ざされた建物に見えるのかもしれない。

それでも、こうして風が吹き抜けるように、すべてが閉じているわけではないのだ。

私が真摯に知ろうとしさえすれば、本来はいつでも開かれている場所なのだろう。

目の前にいる、あなたの心と同じように。

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