私は、感情を体で表すことが不得手です。
例えば、音楽を聴きながら自然に体を揺らしたり、歌いながらリズムを取ったりすること。
あらかじめ決められたリズムや振り付けなら、抵抗なくできるんです。
でも、楽しくなってその場で踊り出したり、盛り上がって拍手をしたりといった、その瞬間の感情を乗せた表現が、うまくできないんです。
スポーツの「ファインプレー!」のハイタッチをするタイミングがわからず、ひとり輪に入り損ねる。
カラオケで盛り上げる合いの手がわからない。
手本を見ながらの絵は描けるけれど、自由に表現することができない。
心は確かにいろんなものを感じているのに、それがうまく体に伝わらない感じです。
子どもの頃、10年近くピアノを習っていましたが、「楽譜があれば弾けるけれど、体の中から音楽が溢れてくることはない」と、ずっと感じていました。
芸術方面に限らず、表情が特別豊かだったり、おしゃべりが抜群に得意だったりするわけでもなくて。
唯一、物語や詩を書くことだけは、いくらでもできたから、私には文章表現しかないんだと信じてきたのです。
だから、書くのをやめたときは、いよいよ自分が空っぽのような気がしてたまりませんでした。
もう、体からストーリーが湧き出して溢れることはないんだな、と。
――だけど。
こうしてブログを書き続けてみて、言葉は変わらず出てくるのだとわかりました。
昔みたいに物語性はなくても、ちゃんと文章で気持ちを表すことができる。
このぐらい書ける人はたくさんいるけれど、書けない人も同じようにたくさんいるはずで。
だとしたら、私の中からほとばしるものは、やっぱり言葉なのだと思います。
体はうまく動かせなくても、声はなかなか出なくても、手を動かして言葉を綴ることができる。
書くのが楽しいと感じられることを、大事にしたいです。