作中作品という位置づけだったので、何となく敬遠してしまっていた小説です。
「図書館戦争」が好きなだけに、がっかりしたくない気持ちが強くて。
でも、冒険的に何冊か読んでみて、有川浩さんでハズレを引くことは、まずなさそうだったので。
せっかくだから、読んでおこうと思いました。
シンプルな恋愛物語
予想を裏切らず、楽しませてもらえました。
読み終えていちばんに感じたのは、まっすぐな話だなあ、ということ。
物語の進み方も、結末も、ストレートというのか、シンプルというのか…
装飾的な感じが、一切しません。
例えるなら、パン屋さんに行ったら、たくさんの惣菜パンやデザートパンが並ぶ中で、素材そのままの食パンが、いちばん味わい深かった…ような。
それだけに、どきりとするほど、リアルでもあります。
難聴の何たるかを語れるほどの器は、私にはありませんが。
目に見える障害を抱えている人も、目に見えない障害を抱えている人も、障害と分類されない何かを抱えている人も。
そのすべてが、個性として生きられる世界になったら素敵だな、と思っています。