本好きとしては、見逃せないタイトルです。
千田琢哉さんは、やっぱり明朗で簡潔、力強い文章ですね。
第4章の、「文字量の少ない本を味わいながら読む」という項目に、こんな一節がありました。
著者にとっても、分厚くて文字がビッシリの本を書くのは責任逃れができて楽チンです。
「○○だ」と言い切らずに、「○○かもしれないし、△△かもしれない。みんなそれぞれが正しい」と責任逃れをすれば、すぐに3倍の分厚さになります。
(中略)
歴史に名を残す天才たちの童話や詩集はいずれも文字数が少ないのです。
なるほどと読み返してみれば、確かに彼の文章は、はっきりと言い切る形になっています。
「本を読むから時間に余裕ができる」
「乱読をしても睡眠中に整理され染みこむ」
「本の買い過ぎで貧乏になった人はいない」
「運命の本はつらいときにしか出逢えない」
「つらいときに群れるな、本を読め」
…などなど。
ビジネスに必要な教養が、読書という観点から満載に語られた1冊です。
でも、私にとってはそれだけでなく、読書に自信をくれる本でもありました。
子どもの頃は、ただ好きで楽しくて読んでいても、認めてもらえたり、高評価を受けたりはしなかった。
その結果、読書は素晴らしいとわかっているのに、人前で「本が好き」だと言いにくい人生を、形作ってしまいました。
読書への愛に、自信が持てなかったとも言えます。
けれど、その愛が、理論的に裏付けされたような安心感をもらいました。
本に費やした時間とお金と心は、必ずそれ以上のものになって、自分に返ってくる。
改めて、実感できた内容でした。
さあ、今日も本を読もう。