50過ぎたら、ものは引き算、心は足し算 知識より知恵編(沖幸子)

表紙のシンプルなキッチンの写真が、目を惹きます。

こちらは、著者の50過ぎたらシリーズである、

「ものは引き算、心は足し算」「50過ぎたら見つけたい人生の“落としどころ”」「家事はわり算、知恵はかけ算」

を1冊にまとめた本とのことで、50歳からの暮らしと心について書かれています。

歳を重ねてもできる暮らし

30代後半になってから、シンプルな暮らし方や生き方を好きになり、こうしていろいろ読んだり試したりしていますが。

今がよければ…という視点だけではなく、歳をとっても身軽に動けるように、日々の暮らしが負担にならないようにしておきたいと思いました。

たとえ老化の速度を緩めることはできても、衰えずにいることはできません。

歳を重ねてもできる掃除のやり方や、今のうちから時間をかけてものを片づけていくことなど、人生の先輩からの言葉は、説得力があります。

今、自分が「これだ!」と考えているベストスタイルも、定期的に見直しながら、アップデートしていきたいですね。

また、ものを引き算した分、足し算できる心にも、

「やりたいことは、今すぐに」「心の“隠れ家”を持つ」「心が喜ぶことを知る」

など、真似したいことがたくさんありました。

中でも、ぜひ今から身につけたいのは、「感激はおもいきり」の足し算です。

苦労して一つのことをなし終えたとき、私は「やったあ」と大声で叫びます。

(中略)

ある一つのことを集中して成し遂げたとき、全身全霊で感激し、周りを巻き込んでしまうのです。

こんな感激屋のおばあちゃんは、憎めず、かわいい。しかも周りを明るくします。

大好きだった母方の祖母は、穏やかに微笑む優しいおばあちゃんで、目指したい老い方ですが。

そんなおばあちゃんが、素直に思いきり感激を表せたら、もっと素敵で魅力的になりそう!

人前で喜ぶことがあまり得意ではない私は、老後に向けて、さっそく練習を始めることにします(笑)。

ゆるやかに生きる

いちばん心に響いたのは、最後の一節です。

病院やホテルのように、なめたようにピカピカの家は、それを維持するために大変な努力が必要で、住む人にとってはかなりのエネルギーを放出し、ストレスがたまります。

地球上では、人がいる限り、ある程度のものが散らかり、整理を怠れば乱雑になるのです。

掃除や片付けを生きがいにしてはいけません。

日常生活に、ある程度の汚れやものを受け入れながら、けして放置しない。

(中略)

混雑した汚い部屋でもチリひとつない部屋でもない、そこそこ片付いた部屋を目指します。

自分も家も喜ぶような居心地のいい場所こそ、豊かな人生には大切なものです。

いかがでしょう。ずいぶんこころが緩んで軽くなりませんか。

人生にも片付けにも、完璧はあり得ないのですから。

なまじ家事に取り組む時間があると、つい完璧にやろうとしてしまう私には、この「いい加減」「ほどよい緩み」が必要だなと、たびたび考えさせられます。

歳をとるごとに、昔よりはしなやかに生きられるようになったと感じるけれど。

50歳になる頃には、沖さんのように、柔らかな言葉で大切なことを語りかけられるぐらいの緩さでありたいです。

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