日舞のお稽古が、ずっと続いている長女ですが。
本当に上手で、すごく頑張っていて、もう手放しでほめ倒したい!
…と思って、素直にほめたら「あんまりほめないで」と、真顔で言われました。
「ほめられると、何だか落ち着かないし、不安になる」のだそうです。
表情や口調からすると、照れくさい気持ちから出た台詞ではなく、どうやら本気で、そう感じている様子。
普通は、ほめられたら、子どもはもう少し喜ぶのじゃないかと思います。
たとえ照れたり恥ずかしがったりしたとしても、嬉しさが混じるのではないかな、と。
それなのに娘は、嬉しくない、不安だと受け止める。
私はいったい、この10年ちょっと、この子にどんな言葉をかけてきたんだろう。
本人の気質もあるのでしょうが、母親として、あまりに情けなくなりました。
否定から入らない
私は、自分の好きなことや楽しいことを、親に否定された部分が大きかったように、記憶しています。
だから、自分の子どもの楽しさも嬉しさも、共感したいと思っていたはずなのです。
保育園や学校から帰ってきたとき、子どもたちと目線を合わせるように、心がけていたはずだったのに。
一緒に遊んでいるとき、同じように「楽しいね!」って、笑っていたはずだったのに。
でも、ふり返ってみれば、普段子どもたちが「お母さん!」と呼びかけてくれるとき、私はたいてい家事をしていて。
「ちょっと待ってー」「えー、お母さんには無理だよ」「先に宿題やってからにしよう」
そんな返事ばかり、していました。
否定しているつもりではなく、大人にとっては普通の言葉なのですが、いつもお母さんに話しかけるたびに、そう言われたら、どんな気持ちになるでしょう。
その瞬間に伝えたいと思ってくれていた、嬉しさも楽しさも、消してしまっていたのではないか、と思いました。
まず「いいね!」
一般的に、親として、早く宿題をさせたかったり、家事を終わらせてしまいたかったりする気持ちは、もちろんあります。
どこまでも子どもに合わせていると、今度は自分がしんどくなってしまうので、線引きは必要です。
ただ、子どもが投げかけてくれる、喜びや楽しさは、その瞬間を逃さずに受け止めたい。
そこで、忙しいときに「お母さん! 来て!」「お母さん、遊ぼう!」と言われたら、まず「いいねえ!」と返してみることにしました。
「いいねえ! でも、お母さん、お皿だけ洗っちゃうから、ちょっと待っててくれる?」
「いいね、楽しそう! じゃあ、少し遊んだら、お母さんもお仕事するから、○○は宿題やっちゃわない?」
すると、必ずとはいきませんが、かなりの高確率で、子どもたちは納得してくれるようになりました。
今までは、ぐずっていた次男も、「お母さんは怒ってばっかり! わかってない!」と不機嫌になっていた長男も、笑顔でその場を収めてくれます。
まずは、最初に否定的な言葉を投げかけないように、心がけて。
試してみながら、これって昔、営業職の研修で習った「イエスバット法」じゃないかな、と思いました。
他人相手だと活かせるコミュニケーションのノウハウも、親子になるだけで、実際にできていないことが多いんですね。
声のかけ方を変えていくことで、長女が少しでも、自分の素晴らしさを感じてくれますように。