私の好きなお店は…、と思い浮かべてみたら、食べ物がおいしくて、よく行くご近所のお店ばかりだった。
気さくなシェフが作る、本格的なイタリアンランチをいただけるカフェは、何を食べてもおいしい魔法のようなお店。
私は生魚やスパイス料理が苦手なのだけれど、このカフェで料理された食材は、不思議とおいしく食べられるのだ。
いつもはきはきとしゃべり、颯爽と動きながらホールを回すお姉さんがいるパスタ屋さんは、子どもたちも大好きなお店。
ひとりでゆったりと行っても、家族や友だちとワイワイ訪れても、居心地がいい。
一度食べたら衝撃のおいしさ! という類のお店ではないのだけれど、定期的に食べたくなる、定食屋さんのパスタ版ともいえる魅力がある。
子どもたちが大好きと言えば、最寄りのファミリーレストランのチェーン店も、よく食べに行く。
メニューや味が目新しいわけではないのだけれど、数年越しにお勤めの店員さんが顔を覚えてくださっている。
「いつもありがとうございます」という接客が、失礼にならない程度に、ゆるりと親しみを込めたくだけ方になっているのを、心地よく感じる。
ご近所の素朴なケーキ屋さんも、好きだ。
洗練されたおしゃれな空間というより、子どもの頃に綺麗なお菓子の空き缶で作った、宝箱のようなお店。
気取らずに行けるので、ちょっとしたごほうびおやつが欲しいときにも、ふらりと訪ねる。
ケーキを選びながら、同い年のお嫁さんと会話を交わすのが、ひそかな楽しみでもある。
お天気のこと、子どものこと…話題そのものは他愛ないことばかり。
ただ、いつもニコニコと穏やかに話してくれる彼女が作る空気感に、とても癒やされている。
書いていて「いつも」という言葉を、たくさん使っていることに気がついた。
食べ物のお店だから、味が合うかどうかも大事なのだけれど、私には「お店」と「人」がセットになっているみたいだ。
「このお店にこの人がいる」。
だから「好き」。
それが「また行こう」に繋がっている。