眠るのが、下手になったような気がする。
いちばん眠い瞬間に、ふっと心地よく、眠りに落ちることができない。
たびたびタイミングを逃してしまう。
朝も、身体はまだ眠たいのだけれど、目が覚めてしまう。
そして二度寝ができない。
だからなかなか疲れがとれず、いわゆる「寝た気がしない」のである。
子どもが生まれたばかりの頃は、細切れ睡眠で眠くてたまらず、気を失うように寝ることが多かった。
大変な時期ではあったものの、こと眠りに落ちる瞬間に関しては、人生でいちばん快適だったと思う。
眠るタイミングを逃して、けれども頭はぼんやりしているので、建設的なことは何ひとつできない夜更け。
ごろんごろんと寝返りを打ったり、大の字になったり、あきらめてスマホを開いたりしている。
赤ちゃんが寝ぐずりする姿を思い出す。
わかるよ。眠たいのに眠れないって、つらいよね。
私は大人だから、泣かないけれど。
「誰かどうにかしてよ、眠りたいよ」と叫びたくなる気持ちは、今なら痛いほどわかる。
母からは、眠るのにも体力が必要なのよと言われた。
「だから年をとると、早く目が覚めちゃうの」
確かに、世のおじいさんおばあさんは、早寝早起きが板についている。
早起きになるほど、早寝になる…納得の事実である。
しかし、私がいくら早起きしても、早寝にはまだ限界がある。
育児と家事を放り出して、夕方から早々に眠るわけにもいくまい。
世の中、みんなハメハメハ大王のように生きればいいのにな…と思いながら、私は今日も、あくびをひとつ。
「朝日のあとで起きてきて 夕日の前に寝てしまう」
「風が吹いたら遅刻して 雨が降ったらお休みで」
ゆるいライフスタイルの鼻歌を口ずさみながら、ころりとふとんに横になるのである。