マンガでよくわかる 怒らない技術(嶋津良智)

ビジネス書を読んで、泣くほど心を揺さぶられるとは思いませんでした。

「怒らない」「イライラしない」類いの本がたくさん売られているということは、それだけ悩んでいる人が多いのだと思います。

私も、あれこれやといろいろ読んで試しては、少しずつ「怒らない技術」を学んできました。

根底にあるのは、「イライラしている状態は不快で、そんな自分は嫌」で、やっぱり「自分を好きでいたい」です。

子どもたちと向き合っていて、感情に任せて怒鳴ることこそ減りましたが、イライラが重なって、きつい物言いや刺々しい態度になることは、まだたくさんあります。

たとえば、夕方から夜の忙しい時間帯に、宿題を教えてと言われ、何回説明しても「わからない!」と不機嫌をあらわにする子ども。

「お母さん嫌い! もうやりたくない!」「じゃあ、無理してやらなくてもいいよ。先生に聞こうよ」「嫌だ!」

そんなやりとりをくり返しながら、「感情のまま怒らないように…」と探りながら、何度も教えていくのは、かなりのストレスです。

けれど、私も主人公の千夏と同じように、そもそも勘違いをしていました。

怒らないからストレスが溜まるんじゃない。

いつまでも目の前の状況が変わらないからストレスが溜まるんだ。

「子どもが不機嫌」「宿題が終わらない」「片づかない」という状況がストレスなのであって、今ここでイライラと子どもに怒っても、ストレスが解消されるわけではない。

ということですね!

怒りの瞬間への対応だけでなく、イライラを生み出さない環境設定を、もっと考えた方がいいな、と思いました。

今の例だと、自分の心身の状態だったり、宿題を始めるまでの過ごし方だったり。

「疲れた」「時間がない」「忙しい」

この3つを平気で口にするようになったら、感情コントロールができていない信号です。

この「三大禁句」をひとつの目安にして、自分の心の余裕を、客観的に見られるようにしていきたいです。

ちなみに、読んでいて泣けてきたのが、こちらの一節。

人がなぜ怒るのかを考えたことがあります。

ひとつの答えとして「楽だから怒る」ではないかと思うのです。

動物の群れのリーダーは雄叫びひとつで、群れを統率することがあります。

まるでスイッチひとつで相手を意のままにするような印象があります。人間の社会でもあのようにできれば何と楽でしょうか。

背景にあるのは、自分に対する弱さです。弱いから楽なほうを選んでしまいます。

ああ、そうか。だから、子どもたちに怒っていたのか。

何も考えず、ただ楽な道を選んで。

「弱い奴ほどよく吠える」という言葉の意味を、本当に知った瞬間でした。

ものすごく納得すると同時に、私の弱さに気がついて。

けれど、自身を責めたり否定したりする気持ちは、不思議と起きなくて。

そんな弱さを抱えて生きている自分を、もっと大切にしようと思って。

――読み終えて、生まれて初めての「泣けるビジネス書」を、愛おしむようにそっと閉じました。

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