文章を書き続けて、私が手に入れたのは、書く技術ではなく。
私に見えているもの、聞こえているもの、触れるもの、香るもの…
現実に存在する身体を通して、見えない場所で動いている心と、
私が身体を使って描く言葉が、限りなくぴたりと合わさっている感覚。
言葉があふれる世界で、新しい言葉を生み出すのではなく、
誰もが使う言葉を、自分のものとして発することができる実感。
私が私である、という感覚。
自分の内側の、見えないものを書けば書くほど、
地に足がついていき、私がいま生きていることがわかる。
どんなに言葉を重ねても、言葉にならないものがある。
それを言葉にしようとする営みの、畏れも喜びも、
全部を飲み込んで、人は言葉とともに生きてゆくのだ。
書けば書くほど、私は私になる。
書けば書くほど、あなたはあなたになる。
私が手に入れたのは、私の生命のかたち。
