「本当に私が好きなもの」を選ぶ

女は、髪と、生きていく」を読んで、シャンプーについての新常識を知ったとき、心屋仁之助さんの例え話を思い出しました。

白米が好きか、玄米が好きかと聞かれて、「玄米」と答える人も多いと思うのですが、その人に理由を聞いてみます。

「健康にいいから」とか「栄養価が高いから」とか「血糖値が上がらないから」と答えます。

その理由の裏には「損か得か」「正しいか間違っているか」がはりついています。

だって玄米を食べたほうが栄養的に「得」だから。玄米を食べたほうが健康的には「正しい」から。

でも白米と玄米がまったく同じ栄養価で、同じように健康にいいとすると、それでも「玄米が好き」と答えますか?

おそらく玄米好きの何人かは、白米に乗り換えるのではないかと思います。

「本当に好きなもの」には理由がないんだよ、という内容でした。

初めて読んだ当時は「なるほど」とうなずいたものでしたが。

最近、はっきりと思い当たりました。

シンプルな暮らしを目指す中で、体に負担の少ないオーガニックがよいとか、天然素材のブランドものを長く大切に使うとか、情報を手に入れるわけですね。

で、実際に使ってみると、いいものだと感じます。

実家の母も、添加物には気を遣うタイプだったし、やっぱり体は大切にしなきゃですよね!

――というスタイルが出来上がると、今度は、添加物入りのものや、人工素材の量販店の服などを使いづらくなるんです。

手軽でいいな、安くて可愛いな、と思う一方で「いやいや、でも体に悪そうだから」と、選ばない言い訳を自分にします。

「これが好き!」ではなく、「こちらの方がよさそう」という損得基準が、いつの間にか増えていました。

「自然体」と「おしゃれ」とが結びつかず、セルフネグレクトという言葉が刺さったことも、まだ記憶に新しいです。

「綺麗になりたい」と「ありのままでいたい」のバランスが、なかなかとれなくて。

自身の軸が定まらないので、自然に人の目を気にするようになります。

たとえ、毎日同じ服を、心地よく着ていても。

好きなもの! というよりは、「体型や年齢に合うもの」「シンプルなもの」「天然素材」を選んでいました。

「理由がないけど、好きなもの」を選ぶ

誰に褒められなくても、読むのが楽しくて、本を手に取るように。

本当に食べたいものを食べたり、本当に着たい服を着たい。

そのために、料理術やファッションテクニックがあるんですよね。

シンプルゆえの上質さを知ることができたのは大きな財産ですし、実際に使い心地のいいものにも出会えています。

また逆に、値段が安くても使いやすいものもある。

これからは「こちらがいい」ではなく、「これが好き!」と心から感じられるものを、ひとつひとつ、見つめ直していきたいと思います。

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